【EcoTopics】太陽光発電設備の導入可能な建築物の選定ツールのご紹介
国・地方脱炭素実現会議が公表した「地域脱炭素ロードマップ~地方からはじまる、次の時代への移行戦略~(令和3年6月9日)」には、2030年までに集中して行う取組・施策を中心に、地域の成長戦略となる地域脱炭素の行程と具体策が示されています。その3―2.脱炭素の基盤となる8つ重点対策の全国実施の一つ目には「屋根置きなど自家消費型の太陽光発電」が挙げられており、その<絵姿・目標>の①には「政府及び自治体の建築物及び土地では、2030年には設置可能な建築物等の約50%に太陽光発電設備が導入され、2040年には100%導入されていることを目指す」ことが掲げられています。
本トピックスでは、上記達成に向けた取り組みとして推進される、公共施設等への太陽光発電設備導入可能性調査に際し、初期検討段階で行う導入可能な建築物の選定(1次スクリーニング)の考え方や環境省が公表している簡易ツールについてご紹介します。
導入可能な建築物の選定(1次スクリーニング)の考え方
先ずは自治体がどのような建築物を保有しているかを整理する必要があります。竣工年、構造、耐震対策といった建物の基本情報、建物の建替えや改修計画の有無、設置スペースの有無、影の影響等の周辺状況の基礎情報を網羅的に整理したうえで、建築物毎に太陽光発電設備が導入可能か否かを判断し選定します。
簡易判定ツール
環境省では、各施設(建築物)の担当者が、専門知識がなくても太陽光発電の設置可能性を簡易に1次スクリーニングできるよう、下表の基礎情報から太陽光発電の設置可能性を簡易に判定するツールを試行的に作成し公表しています。
本ツールはExcelに必要情報を入力するだけで簡単に判定結果が得られるように作られており、環境省HPよりダウンロードが可能です。但し、試行的に作成されたものなので、情報量が多く情報整理に時間を要することが想定されることや、判定についてもあくまで検討目安であることへの留意が必要です。地方公共団体においても、担当者によるスクリーニングや、その後の専門家による詳細調査の基礎資料作成への活用を想定しています。
参考)策定・実施マニュアル・ツール類(太陽光発電導入可能性に関する基礎調査)
太陽光発電の設置可能性に関する基礎情報
項目 | 必要な情報 |
---|---|
(1)基礎情報 | 施設・建築物名称、住所、竣工年、地上階数、建築面積 |
(2)建築物の構造 | 木造/軽量鉄骨造/鉄骨造/鉄筋コンクリート造 等 |
(3)建築物の耐震対策 | 新耐震基準/旧耐震基準(耐震対策実施の有無) |
(4)建築物の立地環境 | 海岸からの距離 |
平均積雪量(年間平均積雪量) | |
(5)太陽光発電設備の導入状況 | 設置あり(発電容量・パワコン容量)/設置なし |
(6)屋根や屋上の空きスペースに影響する建替え・改修計画の有無 | 計画あり(2030年まで・2030年以降)/計画なし |
(7)建築物の屋根や屋上の空きスペース | 空きスペースの面積(㎡) |
屋根形状(陸屋根/折板屋根/傾斜屋根(瓦・金属)等) | |
(8)周辺環境状況 | 空きスペース全体が年間を通じて日影になるか |
空きスペースはあるが太陽光発電設備を設置できない他の要因 | |
(9)敷地情報 | 敷地(駐車場等)に太陽光発電設備を設置できる(可能性のある)スペースがあるか |
(10)備考 | 太陽光発電設備の設置可能性を判断するにあたり、特筆すべき事項がある場合 |
判定ツールイメージ(一部)
判定方法
各建築物の調査回答から、A~C-の4段階で簡易判定結果が自動表示されます。
判定項目 | 定義 |
---|---|
A | 設置可能性が高い |
B | 設置可能性は高いが、懸念事項あり |
C+ | 設置が難しい(その他の要因) |
C- | 設置が難しい(技術的要因) |
出典)地方公共団体実行計画(事務事業編)策定・実施マニュアル(本編)
以上、太陽光発電設備の導入可能な建築物の選定についてご紹介いたしました。
実際には、各施設(建築物)の担当者が1次スクリーニングを行えない場合も想定されます、その際は一次スクリーニングの段階から専門家が調査を行うことをお勧めいたします。
知識経営研究所では、自治体向け太陽光発電設備の導入に関する調査・検討業務の実績があります。本トピックスに関する事以外にもご相談に応じます。お気軽にお問合せ下さい。
(令和4年8月 公共コンサルティング部 小西)
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