【EcoTopics】温室効果ガス(GHG)の削減方法について
このコラムは、地方自治体の事務事業編で温室効果ガス排出算定業務に携わっている方、民間企業で省エネ法・温対法の対応されている方、民間企業で省エネ活動に携わっている方に向けて記載しました。
温室効果ガス排出量を算定しているもののどうやって排出量を削減していいのかお困りの自治体や企業は多いのではないでしょうか。本Eco Topicsでは、温室効果ガス(GHG)の削減方法について解説いたします。
温室効果ガス(GHG)の削減方法
温室効果ガス排出量を削減するためには大きく分けて以下の2通りの方法があります。
方法1 使用量を減らす(省エネルギー)
方法2 排出係数を減らす(創エネルギー)
方法1 使用量を減らす(省エネルギー)
1つ目は使用量を削減する方法です。これはいわゆる「省エネルギー」の手法です。省エネルギーというと、日本人は「我慢してエネルギーを使うことを控えること」と捉えがちですが、本来の省エネルギーの活動はそうではありません。使用している設備や機器のエネルギー量を自分たち自らが把握し、余分なエネルギーを使用していないかを確認する活動が省エネルギー活動です。例えば、誰もいない部屋のエアコンがつけっぱなしになっている場合が該当します。エアコンは人の作業を快適にするために使用するのであって、誰もいない部屋を冷やしたり温めたりする必要はありません。そこで、「不必要にエネルギーを使用している部屋のエアコンの使用を停止する」という行動をとることで省エネルギーを図ることができます。このように、エネルギーを余分に使用していないかを常に見直す行動が本来の「省エネルギー」の活動なのです。
「省エネルギー」には下記の3通りのアプローチがあります。
① 運用改善
運転方法、使用方法といった運用面でエネルギーを削減できる対策(ソフト面)
例)温度設定の適正化、不要照明の消灯、圧縮空気圧力の適正化、ボイラー圧力の適正化
② 機能付加
設備・機器の部分的な更新や機能を付加することでエネルギーを削減できる対策
例)ポンプ・ファンへのインバータ導入、フラッシュ蒸気の回収、蒸気・温水配管への保温
③ 設備導入
最新型の高効率な設備・機器の導入により改善できる対策(ハード面)
例)高効率な空調設備への更新、高効率照明(LED)設備への更新、高効率ボイラー設備への更新
方法2 排出係数を減らす(創エネルギー)
2つ目は排出係数を減らす、または排出係数が低いエネルギーを使用する方法です。これは、自らが使用するエネルギーを創り出す(創エネルギー)、または温室効果ガスの排出量が少ないエネルギーを使用する方法です。
「創エネルギー」の具体的な方法には下記の2通りあります。
④ 燃料転換
単位エネルギー量あたりのCO2排出量が小さい燃料への転換
例)重油ボイラーから都市ガスボイラーへの転換
(重油より都市ガスの方がCO2排出量は少なくなります)
⑤ 電力低炭素化
単位電力量あたりのCO2排出量が小さい電力の利用、再生可能エネルギー発電の導入
例)CO2排出係数の小さい電力契約の締結
太陽光発電・バイオマス発電等の導入
この中でも特に再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な低炭素の国産のエネルギー源です。
弊社では2022年3月現在で公共施設326件、民間企業229件の省エネ診断の実績があり、省エネ診断では5~15%程度のエネルギー削減余地があることを確認しております。①運用改善や②機能付加では設備投資額(イニシャルコスト)が0~200万円程度と比較的抑えられますが、③設備更新では設備投資額(イニシャルコスト)が500万円以上かかるものもあります。そのため、なかなか設備投資に踏み切れないというところもありますが、10年以上使用する場合はエネルギー削減額(ランニングコスト)の大幅な低減が見込まれます。そのため、③設備更新の際は設備投資額(イニシャルコスト)だけで判断するのではなく、設備投資額(イニシャルコスト)とエネルギー削減効果(ランニングコスト)を比較して実施する必要があります。
また、民間企業では①運用改善や②機能付加の対策を中心に運転制御方法の見直しや自家発電設備の運用方法なども省エネ診断で提案しておりますので、③設備投資する余裕がないという企業においても、十分に効果を実感して頂いております。
その外、公共施設への④燃料転換の提案や⑤再生可能エネルギーの導入調査や太陽光発電の導入効果算定も行っております。
温室効果ガス(GHG)の削減方法で何かお困りごとがございましたら、是非、弊社にご相談ください。
(令和4年7月 公共コンサルティング部 小林)
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