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整頓はにくいを探せ!! │新5S思考術シリーズ (Season1 第6話)

目次

前回と前々回では、 清掃についてお届けしました。

清掃はあなたの部下や後輩の当事者意識を育み当事者能力を発揮するまでの修行(?)としてぜひ体験させてあげてください。

そしてシリーズ6回目は、 整頓 のお話をします。

整頓 とは 『 ムダ取り 』

整頓とはズバリ 『 ムダ取り 』 です。
私たちの職場には、 多くのムダが隠れています。
それも、そのムダになれてしまっていて通常の作業だと思い込んでしまう悲しさも持ち合わせています。

どんなにあなたが 「 これはムダだ! 」 と部下や後輩に話しをしても、 何年も続けている仕事内容を変えることができないのは、 ムダを意識できていないからなのです。

そもそもムダとは漢字で 『 無駄 』 と書きます。
『 駄 』 の意味は 『 馬に負担させること 』 という意味であり、 人が歩くことを馬に任せて移動を楽にすることを表します。

なので、 『 無駄 』 というのは 『 駄が無い 』 状態を指しますので、 人が歩くことを馬に任せて移動を楽にできていない状態のことを表します。
これを職場に当てはめてみると 「 仕事を楽にできていない職場 」 という意味になります。

「 仕事を楽にできていない職場 」 とは、 働き方改革が強く推進される今日からすると理想的な職場とはかけ離れた状態です。

たとえ職場において何かしらの制度を導入したとしても、 ムダが職場に残っている状態であれば、 その制度さえもムダになりかねません。
しっかりムダに気付く人を育て 『 ムダ取り 』 改善を行うことが、 真の働き方改革をなしえるために必要です。

整頓 の 『 ムダ取り 』 のポイントは・・・

『 ムダ取り 』 のポイントは 『 にくい 』 でした。

清掃しにくい
歩きにくい
見にくい
安全作業をしにくい
探しにくい
読みにくい
判断しにくい
書きにくい
入力しにくい
計算しにくい
伝えにくい
探しにくい
しまいにくい
取り出しにくい

この 「 にくい 」 は、イライラ感情を高めるとともに、 視野を狭め集中力が散漫になりストレスの原因となります。
新型コロナが蔓延している時期にストレスからくる免疫力の低下は、 絶対に避けたいものです。
免疫力の低下は作業ミスや災害の原因にもなってしまいかねませんから。

『 にくい 』 は清掃で探し、 整頓 では『 にくい 』を○○○する。

ムダを見つけるのは、 前回のブログでも書いた清掃活動時に見つけます。清掃活動で 「 にくい 」 を探し出し、 整頓活動で「 にくいをやすく 」 します。

清掃しにくい → 清掃しやすく
清掃のしにくい所や、 微生物学的リスクや異物の蓄積の原因です。
清掃しやすい方法を考える活動を展開しましょう。

コロナ感染症対策云々と入り口に書かれているオフィスへ訪問し、 机の下のグチャグチャ配線とホコリが目に入ってきた時 「 コロナ以前に職場衛生ができてないじゃん! 」 と最近思いましたね~

歩きにくい → 歩きやすく

歩行ロスは運搬時間がもったいない! 災害の頻度が多くなる!
歩きやすいレイアウトを実現したり邪魔物を徹底的に片付けましょう。

床に置いてあるサンプルやカタログの入った段ボール。 3ヶ月以内に使わないのなら棄てましょう。

見にくい → 見やすく

思い込みや勘違いの原因となります。
一歩立ち止まって考えるきっかけを与える改善を進めましょう。
老眼が進んでいる私は細かい文字が見えにくいんです! 何とかしてちょうだいっ!

探しにくい → 探しやすい

まずは 1秒 でも早く探し出すための改善から始めましょう。
人の脳は、 時間と共に記憶が薄れます。 何かの作業を中断して探しものに時間がかかると、 中断した作業のことさえ忘れるかも。

探す時間は、 コストで利益を生み出さない時間帯です。 ある職場で測定をしたところ一日のうち 45% がモノや情報を探す時間でビックリしたな~
整頓はイライラを減少させる活動ともいえます。

ムダを取り除きコストを削減すると共にメンタルヘルスに係わる職場環境向上にも役立つ活動なのです。

『 ムダ 』 を見つけ、 『 ムダ 』 を改善する人材を育成する

改善ファシリテーター育成教育の時、 ムダを取り除く場合は 「 1㎜ 1秒 チャレンジ 」を徹底的に教え込みます。
経験則から 20秒 以上のムダ取りをテーマとして与えると、 モノゴトを難しく考え始め複雑に考えるメンバーが多くなることが解ります。

この複雑な思考は、 結論に至るまでの時間が長くかかり、 思考ロスとしてコストに跳ね返ってきてしまいます。スピード感を持った改善活動を体験させなければ、 改善活動自体がロスになりかねません。

表向きは 「 改善活動! 」 と前向きですが、 裏を覗くとロスになっているケースは少なくないのです。大きな 『 ムダ取り 』 テーマを与えるくらいなら、 「 1㎜1秒削減 」を繰り返し体験させ、簡単な改善を継続させることと合わせスピード感を会得させた方が「ムダ取りパーソン」が多く育ちます。

私の好きな言葉に「 1 人の 100歩 より 100人 の 1歩 」 というのがあります。1人 が大きな改善を進めて成長するよりも、 100人 が小さな改善を経験する方が組織全体の改善力が高まることを表していると思っています。

ムリな改善を強いるより、 小さな改善を数多く体験させるように部下や後輩を支援してあげてください。

全てのモノには意味がある

職場にあるモノはそこで働いている人から見ると、必要なモノばかりと感じてしまいがちです。
しかし、職場にあるモノには何らかの意味や目的を果たすための機能や理由が必要なのです。
意味や機能、理由が言葉で説明できないのであれば、そのモノは棄ててください。

そして、 意味や機能、 理由が説明できたのなら、
「 なぜここ ( そこ ) に置く必要があるのか? その理由は? 」
と自問自答したり、 部下 ・ 後輩 に質問を投げかけてみてください。

 なぜこの高さに置く必要があるのか? その理由は? ( もっと取り出しやすい高さが見つかるかも! )
 なぜこの角度で置く必要があるのか? その理由は? ( もっとしまいやすい角度が見つかるかも! )
 なぜこの向きで置く必要があるのか? その理由は? ( もっと掴みやすい向きが見つかるかも! )
 なぜこの空きスペースが必要なのか? その理由は? ( もっとコンパクトにするヒントが見つかるかも! )

整頓活動は、 小さなムダに気付き ( 問題検出力 )、問題が発生する原因を考え ( 分析力 ) 、問題を解決しよりよい方向になるための行動を起こす ( 改善行動力 )の 維持 ・ 向上 に繋がるのです。

5S活動 をお片付け活動で終えるケースと部下や後輩の成長を盛り込んだケースとでは、組織の問題を解決する能力に格段の差が生まれてきます。
お片付けに止まった5S活動か? 人材育成の新5S思考術か? どちらの5S活動を選択するのはあなた次第です。

次回は、 1㎜ 1秒 の整頓を実践した事例についてお話します。

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マネジメントコンサルティング部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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