緊張をコントロールする方法 │ 成功するスピーチのコツ
先日、SDGsサミットが東京ビックサイトで開催され、「安全意識と分化」について講演をしました。
講演会場に集まった方々と、webで視聴する方がいるハイブリット方式の講演だったのですが、実は私、講演前に極度の緊張状態に陥り、動悸、全身のこわばりと発汗が起き、不安感もマックスに達していました。
ところが、「なぜこんなに緊張しているのだろう?」と考えながら、その原因に気付いたところ、落ち着きを取り戻しいつものペースで登壇することが出来たのです。
あなたも人前で話すとき、「なぜこんなに緊張してしまうのだろう?」そんな風に思ったことはありませんか?
実は緊張には、心理学的にも脳科学的にも理由があります。
そしてその正体を知ることで、緊張をコントロールし、むしろエネルギーに変えることができるのです。
今回は、緊張を味方につけるというお話です。
最後まで、お付き合いください。
緊張の正体を知り、それを克服する方法を知れば、次回のプレゼンやスピーチで自信を持ち、緊張をエネルギーに変えて成功へと繋げる力を手にできるでしょう!
緊張の克服があなたの自信になる。
緊張の正体とは?
人が緊張を感じるとき、心理的には「失敗への恐れ」や「他者からの評価」に対する不安が働いています。
一方で、脳科学的には、これは脳の「扁桃体」が活性化している状態です。
扁桃体は、不安や恐怖を感知し、体を戦闘モードにする司令塔のような役割を担っています。
この扁桃体が活発になると、次のような体の反応が引き起こされます。
心拍数の上昇:緊急時に備えて血液を全身に送り込む。
呼吸の速まり:酸素供給を増やすために呼吸が浅く速くなる。
筋肉の緊張:即座に動けるようにするため。
これらは本来、命の危機を乗り越えるために必要な反応です。
もしかしたら、私も「命の危険」を感じていたのかもしれません(笑)。
しかし、現代社会では「命の危険がない状況」、例えばプレゼンや講演の場面でも、この仕組みが過剰に働いてしまうのです。
緊張の「認知」と「受容」
心理学では、緊張を引き起こすのは「出来事そのもの」ではなく、それをどう捉えるかという「認知」の仕方だと考えます。
例えば、「プレゼンでミスをしたら恥ずかしい」という考え方が、緊張を強くする原因になります。
ラベリングで緊張をコントロール
自分が緊張していることを言葉にして認めるだけで、感情が和らぐことがあります。
これを「ラベリング」といいます。
例えば、次のように自分に語りかけてみましょう。
「私は今、他人の評価を気にしている」
「失敗を恐れているけれど、準備はしてきた」
緊張を否定せず、「これは自然な反応だ」と受け入れることで、脳はその状況に順応しやすくなります。
脳科学の視点~扁桃体を落ち着かせる方法~
脳科学的には、扁桃体の興奮を抑えることで、体と心の緊張を和らげることができます。
そのための具体的な方法を紹介します。
1. 呼吸法で自律神経を整える
深呼吸は、交感神経(興奮状態)から副交感神経(リラックス状態)への切り替えを助けます。
特に、4-7-8呼吸法が効果的です。
4秒かけて鼻からゆっくり息を吸う。
7秒間息を止める。
8秒かけて口から息をゆっくり吐く。
これを数回繰り返すことで、扁桃体の過剰な反応を抑えることができます。
呼吸の時間は、人それぞれ適した時間があります。
あなたに合った、時間を見つけてみましょう。
2. 前頭前野を活性化させる
緊張時、扁桃体の働きが強くなると、前頭前野(理性的な思考を司る部分)の活動が低下します。
このバランスを取り戻すには、「ポジティブなイメージ」と「セルフトーク」が有効です。
例えば、次のように考えてみましょう
「緊張しているのは、私がこの場を大切に思っている証拠だ。」
「失敗しても、聴衆はそれほど気にしない。」
今回の私は、「会社のために、ではない。聴いてくださる方のために話しをするんだ。」
と気分を切り替えたところ、急に楽になりました。
緊張を感じる瞬間を物語で理解する
ケース1:初めてのプレゼンでの失敗
入社2年目の山田さんは、初めての社内プレゼンに挑戦しました。
しかし、緊張のあまり言葉が出なくなり、沈黙が続いてしまいました。
彼が後で気づいたのは、「上司に悪い印象を与えたくない」という不安が原因だったことです。
次回のプレゼンでは、ラベリングと深呼吸を取り入れた結果、適度な緊張感を保ちながら話すことができました。
ケース2:スピーチ中の頭まっしろ事件
白石さんは結婚式のスピーチで、途中で何を話していたのか忘れてしまいました。
実は彼女の緊張の原因は、「みんなの期待に応えなければ」というプレッシャーでした。
後からそれに気づいた彼女は、「完璧でなくても、自分らしく話せばいい」と考えるようになり、次回のスピーチではリラックスして臨むことができました。
緊張をエネルギーに変えるための心理学+脳科学アプローチ
1. 緊張の原因を探る
自分が「何に緊張しているのか」を自問し、ラベリングしてみてください。
漠然とした不安を具体的にすることで、扁桃体の過剰な反応を抑える手助けになります。
2. 身体から緊張を和らげる
呼吸法や軽いストレッチを取り入れ、体の緊張をほぐすことも重要です。
3. ポジティブなセルフトーク
心理学的にも脳科学的にも、ポジティブな自己対話は効果があります。
「私はできる」「失敗しても成長の一歩だ」と自分に語りかけましょう。
最後に
緊張は、あなたがその場を大切に思い、真剣に向き合っている証拠です。
それを否定するのではなく、「自分の中のエネルギー」として受け入れることが大切です。
心理学と脳科学の知識を活用すれば、緊張をコントロールし、その力を自分の味方に変えることができます。
緊張の正体を知ると気持ちが楽になる
緊張の原因は「未知への不安」や「評価への恐れ」にあります。
それを明らかにするだけで、不安が具体化し、対策が見えてきます。
脳科学を活用して緊張をリセットする
扁桃体が「危険!」と警報を鳴らすのは自然なこと。
でも、呼吸法やイメージトレーニングを使えば、そのスイッチをオフにできます。
緊張は「成長のサイン」だと捉える
緊張するのは、あなたがその場を大切に思い、ベストを尽くしたい証拠です。
このエネルギーを活用すれば、あなたのパフォーマンスは格段に上がります。
緊張の克服があなたの自信になる。
緊張の正体を知り、それを克服する方法を知れば、次回のプレゼンやスピーチで自信を持ち、緊張をエネルギーに変えて成功へと繋げる力を手に入れましょう!
次に緊張を感じたら、それを「成長のチャンス」と考えてみてください。
その場を乗り越えたとき、きっと今まで以上の自分に出会えるはずです。
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国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。