組織学習の視点から見る『やりがい』│努力を続けて知識や技能を習得する
やりがい のある仕事
『 やりがい のある仕事』ができている人って、きっとその瞬間、楽しくてイキイキと過ごしているのでしょうね。
一般的に、人は一生のうち14~30%働くんだそうです。
意外と少なく思うのですが、その時間でさえも「楽しく・イキイキ」と働くことができたらいいですよね。
今回のおはなしは『やりがいのある仕事』についてです。
組織学習という視点から『やりがい』について考えてみましょう。
『 充足感や手応え』だけでいいのでしょうか?
やったことに対して、充足感や手応えを感じることはすごく大切です。
人は、この経験が増えれば増えるほどモチベーションが高まり、新しいことへのチャレンジ意欲が高まるもの。
このコラムを書いている本人は、現在55才ですが、この年になっても充足感・手応え・チャレンジを求めて日々試行錯誤の繰り返しです。
『 やりがい 』とは
充足感と手応えを感じ、新たなる挑戦を準備する瞬間。
しかし、なが~いサラリーマン人生を思い返すと、ほんとうにこれだけで良いのか?と思ったりもするのです。
仕事はふたつのことから成り立っている。仕事とは「モノとコト」から成り立っています。
例えば、ハサミを使って、紙をまっすぐ切るような作業を想い出してみてください。
この作業には、紙とハサミが必要です。
紙とハサミは「モノ」です。
そして、その作業を完了するためには、あなたが指先や頭を使って「行動」をおこさなければ、その作業を終えることはできません。
この指を動かしたり頭を使ったりすることを「こと」(指を使うこと・頭を使うこと)に該当します。
このように、仕事とは「モノとコト」から成り立っているのですが、ココで大切なのが「モノとコト」を終えるために必要な、さらに上位の「モノとコト」があるのです。
それは
知識と技能です。
知識と技能
「ハサミで紙をまっすぐ切る」ためには
ハサミの使い方を知っている
ハサミを実際に使うことができる
ハサミで紙を切ることができる
紙をまっすぐ切るワザを持っている
まっすぐ切る集中力がある
切り終えたあと、その作業結果を確認することができる
などなど、その作業を終えるために必要な知識や技能というったスキルが必要で、仕事を行う上で大きな影響をもつ要素です。
そして、この知識と技能が『やりがい』にも大きく影響を及ぼすことが解っています。
『 やりがい 』っていったいなに?
私たちが『 やりがい 』を感じるには、仕事のレベルに対して
「知識と技能が追いついている状態で、達成感や充足感を得る状態」
という条件が必要です。
例えるなら
紙をはさみでまっすぐ切るコトができても、再びその作業を繰り返し行ったとき「紙をまっすぐ切るコトができなかった」としたら、やりがいを感じることはありません。
これは、一度はまっすぐ切るコトができたにもかかわらず、それを再現して繰り返しできる知識と技能が身についていないため、失敗を繰り返す状態では『 やりがい 』を感じるコトはないのです。
失敗と試行錯誤の連続
「紙をはさみでまっすぐ切る」には、そのための知識と技能が必要です。
一度それに成功をしたとしても、試行錯誤を繰り返し、失敗をしなくなるまで繰り返し知識と技能を身に付け、失敗をしなくなるレベルに達することで『やりがい』を感じるのです。
これは、どんな仕事でも同じこと。
知識があっても「できない」や、技能があっても「それを行う理由がよくわからない」なんて状態では、『やりがい』を感じる事はないでしょう。
『やりがい』とは、知識と技能がその仕事レベルに追いた時に感じる満足感や充足感なのです。
ほんとうの『やりがい』を求めて
私たちの脳は、どんなに興味のある仕事でも、ある条件を満たさない限り『やりがい』を感じ取ることはできない、ということが解っています。
例えば
やりたいことができた!
与えられた課題ができた!
難しい仕事をやり終えた!
といったポジティブな感情が沸き上がったとしても、ほんとうに『やりがい』を得てはいないのです。
つまり「与えられた課題ができた!」だけでは、ほんとうの『やりがい』を感じることはないのです。
『やりがい』を感じるには、ひたむきな努力を続け、知識と技能を身に付けた先に得るコトなのだと思う、今日この頃です。
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国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、現在、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。