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教えるだけが教育訓練ではない│なぜなぜ分析を円滑にする裏技

目次

教えるだけが教育訓練ではない

多くの方が知っている「 なぜなぜ分析 」。
中には、顧客から「 なぜなぜ分析 」を指導されたり、実施を要求されているケースもあるようです。
とはいえ、自分たちのためにシッカリと使いこなせるようにしておきたい分析ツールです。
多くの企業様では「なぜなぜ分析」が 教育訓練 に取り入れられています。

教育訓練 に必須の問題解決のための思考法、なぜなぜ分析

なぜなぜ分析 は、ある不具合事象が発生したら、なぜ?なぜ?を繰り返し原因を追求するといった問題解決のための思考法です。
この思考を実施することで、不具合の原因の特定と、再発防止策の実施が可能になるのです。
しかし、なんだかんだいっても、 なぜなぜ分析も単なる問題解決ツールです。

使い方を間違えたり、使い慣れていないと、その思考パフォーマンスを最大限に発揮することができないのです。
リーダーは、部下や後輩がそのパフォーマンスを最大限に発揮するために、日頃からのサポートを心がけなければなりません。

なぜなぜ分析 を円滑に進めるための裏技

今回は、 なぜなぜ分析 をファシリテート(円滑に進める)する裏技について書きます。こんなお悩みをお持ちの方は、ちょっと御時間を頂き読み進めてください。

・ なぜなぜ分析 が上手く進まない。
・ 社内研修までやったのに、 なぜなぜ分析 が定着しない。
・ そのうち なぜなぜ分析 が形骸化し、ただなぜなぜ分析シートを提出すればオッケーになってしまった。
・ なぜなぜ分析 が定着せず「なんで?なんで?」となってしまった。←なんで?なんで?分析ともいう。

日頃からのサポートが上手くいっていると

1.1つの不具合に対して複数以上の改善策が出てくる。(思い込みの廃除)
  →1つの問題に対して、1つの原因しかないと思い込んでいるとパフォーマンスは発揮できない。

2.問題の定義が明確になる。(問題検出と定義力の向上)
  →問題の定義が定まっていないと頭の中が散らかって収集がつかなくなる。
  →事象に対する観察が大雑把になり質の良い情報を意識して得ることができない。

3.問題解決に対して遂行しなければならないという意識を持っている。(当事者意識と当事者能力)→意識が低いと当事者能力を発揮せず、観察や思考の質を下げてしまう。

どんなに素晴らしいツールを手にしても(教育訓練をしても)、思い込み・問題検出力と定義力・当事者意識と能力が伴わなければツールを使いこなすことができないのです。

まさに なぜなぜ分析 には闇が潜んでいるのです。

なぜなぜ分析 と相性が良い 新5S思考術

そんな時リーダーであるあなたは、なぜなぜ分析の闇に光を照らさなければなりません。
その光があなたの部下や後輩の気付きを促し、成長をも助けるのです。そして光を照らす1つの方法に「新5S思考術」があげられます。

新5S思考術では、整理・清掃・整頓を通じて次のような能力を会得することができます。

1. 装置の稼働原理や加工原理の理解。
2. 業務フローを構成する各プロセスの意味や意義を考える。
3. ミスを犯しやすいムダを見つける能力を会得する。

これらは、問題を検出する力や問題を定義する力を高めます。いわゆる「あれ?何かおかしいぞ?」といった感覚をもたせ異常に気付く能力のことです。

また、自ら原理原則を考えたり意味や意義を考えることで当事者意識や当事者能力を高めることができます。そして、ムダな動作などがミスの原因と理解できるようになると、ミスをしやすい作業自体の見直し(改善能力)も向上します。

つまり、原理原則+意味意義の理解+当事者意識/能力が成り立つ支援をすることで、なぜなぜ分析 を使いこなす部下や後輩が育つのです。
なぜなぜ分析を「使う」と「使いこなす」の違いは、大きな差を生んでしまいます。

なぜなぜ分析 の事例

例えば「現場の中堅のオペレーターが指先を怪我した。」という問題が発生しなぜなぜ分析を実施したときのケースで比較してみましょう。

① 整理・清掃・整頓を常日頃から経験していないオペレーターさんがなぜなぜ分析をしたケース

【現象】油をさすために装置に手を入れたとき指先を切った。
【なぜ?】鋭利な部品に気付かなかった。→本人が鋭利な部品のことを知らなかった。→鋭利な部品の位置を教えていなかった。
【原因】鋭利な部品についての教育をしていなかった。
【再発防止策】該当する部品には手を触れないように教育した。該当する部品に手を触れないよう掲示を行った。

このケースの場合、問題の再発のリスクをゼロにすることができません。なぜならば、次の様な要因が残ってしまうからです。

・新人が配属されるたびに、教育をしなければならないので周知しにくくなる。(そのうち教育が形骸化する可能性がある)
・人は教えても忘れてしまっている時がある。(ヒューマンエラーの原理原則)

② 整理・清掃・整頓を常日頃から経験しているオペレーターさんがなぜなぜ分析をしたケース

【現象】油をさすために装置に手を入れたとき指先を切った。
【なぜ?】手を鋭利な部品に近づけたから→グリスニップルの位置が鋭利な部品に近接しているから。
【原因】グリスニップルの位置が鋭利な部品に近接している。近接した設計だったから。近接した設計を承認したから。
【対策】グリスニップルの位置を鋭利な部品から離れた位置に移動する。設計仕様を作成するときには鋭利な部品に接近できないような仕様にする。設計承認の時には、鋭利物周辺の構造をチェックできるようチェックリストに追加する。

後者の事例では、鋭利な部品に接近する動作そのものをなくしてしまっています。どちらが効果が大きいかはお解りいただけますね。
なぜなぜ分析 を円滑に進めるためには「見かた」「聴きかた」「感じかた」を研ぎ澄ます

なぜなぜ分析をファシリテート(円滑に進める)には、日頃からのあなたの部下や後輩の仕事に対する「見かた」「聴きかた」「感じかた」を研ぎ澄ますよう話を伝えたり実践させることが大切です。

次回も、なぜなぜ分析をファシリテート(円滑に進める)するためのノウハウのお話をします。

改善ファシリテーションでは、効果のある問題解決を進める人材を育成することも目指しています。そして育成には、日頃からの整理・清掃・整頓時間を使った教育と訓練が必要とも考えています。

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マネジメントコンサルティング部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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