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次世代リーダー研修で変わる現場 - 技術だけでなく、マインドを育てる取り組み

人材育成・組織開発
日本を代表する総合包装容器メーカーであり、包装容器の設計・開発・製造・販売、食品関連機械、包装システムの販売および技術サービスを提供している、東洋製罐株式会社様
ナレッジリーンの次世代リーダー育成研修を9期にわたり実施されてきた感想を、生産統括室 製造管理グループ エキスパートの吉井 智様に伺いました。

Q:  「次世代リーダー研修」実施のきっかけをお聞かせいただけますか。

この研修は2014年から開始しましたが、計画した当時、私たちの部署には次の課題がありました。

  • 製造ライン全体の網羅的な知識や経験を有する技術者が少ない
  • 次世代の製造を担うべき30代の人材が少ない

育成の対象となる年代の製造技術者は日々の業務に追われており、計画的に体験・経験の場を創出する必要がありました。そこで、当時の生産本部方針として「次世代の中核社員の育成」を掲げ、

  1. リーダーの役割・自覚を会得する
  2. 自分で考え、学ぶ姿勢を養う

をねらいとして、次世代リーダー(中核社員)育成のプログラムを検討し、策定・推進してきました。
当時は間接部門向けに別の教育も行っておりましたが、新たに製造課を対象とした教育プランを計画することとなりました。
当時、ナレッジリーンの坂田講師にFSSC22000の認証取得を支援していただいていましたが、人のモチベーションに対して心理面からのアプローチを得意とされていたこともあり、製造課を対象とした教育プランの計画も依頼することになりました。
当初は全3回でファシリテーターを育てることと、問題検出力を高める5S活動を含めた工場内の改革を目的として、技術よりも知識の習得に重点を置いた内容でした。

Q:次世代リーダー研修を始めてみて、どのような成果があったでしょうか。

単に知識を詰め込むのではなく、現場で使える知識の引き出しを幅広く増やすことを重視していたので、短期間でわかりやすい効果を出すことにはこだわっていませんでした。
結果として、8か月間、全17日にわたる長期の研修プログラムとなりました。

技術は継承できますが、技能は個人固有の能力であり、性格によっても差が出ます。自分を変えることはなかなかできません。
これからリーダーに成長する過程でリーダーとしてあるべき姿を学び、時には厳しく、時には一緒に喜びあう、信頼されるリーダーを輩出できればと思っています。

この研修の特徴は、多角的な考え方や問題の捉え方等を幅広く教えていただくことによって、何かの事象があった時に学んだ本人が応用して使いこなせるようになるところです。

現在8期を終え、研修生は延べ192名参加しています。
その中から係長に32名、課長に8名が昇進し活躍しており、キャリア形成に大きく貢献する研修であると社内でも認識されるようになってきています。
この研修を始めてから、心理的安全性を確保しながらマネジメントもできる係長、課長が増えてきたと実感しています。

また、この研修の情報をグループ会社が知り、参加希望の依頼が増えるといった動きも生まれ、今ではグループ会社8社も参加しています。
普段関わることがないメンバーと8か月間を共にすることで、グループ間の良いシナジー効果も生まれています。
研修が終わる頃にはチームに一体感が出ており、せっかく研修同期生になったのだから卒業生同士の交流を持ってくださいね、と話したら、研修後もやり取りが続いているみたいで嬉しいですね。

机上研修のみだと受講中の集中力低下を心配しがちですが、この研修は心技体をフルに活用するカリキュラムで終始楽しく学んでいます。
当初は生産ラインと技術系のメンバーを対象に計画していましたが、現在では事務間接部門からの参加要望もあり、職種を問わず対象者の幅が広がっています。

Q: 毎期、初回の開講式から始まり、最終回の修了式まで8か月間のプログラムですが、その期間で研修生たちにどのような変化が表れるのでしょうか。

この研修では、キックオフとして行なう開講式と、全てのプログラムを終えた後に行なう修了式が予定され、そこには経営幹部や研修生の上司が参加します。
式では自身の課題と今後の抱負を研修生が一人ずつ発表するのですが、この期間の研修生の変化に感動し、式に参加していた当時の本部長が涙を流したこともありました。

最近では研修生も修了式で涙しています。「長い研修だと思っていたが、振り返るとあっという間だった。」その期間で、仲間意識が出来てくるのでしょう。
このメンバーとこれから会えないのかと思うと、勝手に感情が高ぶって涙が出てくる、そんな感動を生み出す研修になっています。

研修では、毎回必ず『モラルモラール訓練』を行っています。
周りからすると、大声を出して何をやらせているんだ、というような訓練ですが、今では必須になっています。協調性を養うことが目的ですが、大声を出す訓練のため、コロナ禍の時は実施すべきか悩みました。

代替策として声出し無しのダンスに変え、開講式のすぐ後からチャレンジをしたところ、その後のチームの仲良くなる変化には驚きました。
どのようなダンスをするか?をチーム内で会話しないと成り立たないので、協調性を高めるにはダンスも効果があるようですね。

他にも寸劇をチーム単位で行い、どのチームに一番感動したかを評価し合ったこともありました。
最初は研修生達もこの意図を理解できなかったようですが、役柄を演じることで違う自分が出てくるという体験をする、良い機会でした。

最初のうちは、「またか~」「また来月も研修あるのか~」と言っている研修生も、途中から「ん?いま何回目だ?あと何回で終わっちゃうの?」と気持ちが変わってくる。
開講式の時点ではイヤイヤ受けていた研修生が、修了式では寂しいですと言ってくる。開講式と修了式でここまで意識が変わった、それぞれの時点の本人達を並べて、見せてあげたいくらいです。

その変化が多くの研修生に起こる時期が、後半のプログラムである「現場改善実習」です。
工場の現場を改善するプログラムで「失敗できない」というプレッシャーを感じながら実習を行います。
前段階のプログラムでは、毎回失敗しながら経験を積みますが、現場実習は自分から改善を成功に導くという、学びの総仕上げとして実践する貴重な場となっています。

また現場実習では、問題に対して研修生たちの考える改善策を事前に想定し、実習で使うアルミフレームの「からくり」が製作できるような部材を事務局側で揃えますが、研修生はその想定を超えてきたものを作ってくれる。
ある工場で研修を行った時は、タクシーを走らせてまで追加部材を買いに行ったこともありました。
逆に、高額の部材を用意しておいたのに想定外の改善を行い、全然使ってくれなかったこともあります。

余った部材は、各工場でも改善を続けて欲しいので、基本的にはそのまま置いてあります。
そうすると実習が終わった後もその現場の人たちが使っているそうです。現場での改善意識の高まりを感じますね。


Q: ナレッジリーンの「次世代リーダー研修」を継続してくださる理由は何でしょうか?
今後についても「もっとこうしていきたい」というご意見があればお聞かせください。

継続の理由は大きく2つあります。1つ目は、坂田講師だからできる雰囲気作りの上手さですね!
独特の世界観があり、研修生が引き込まれていく感じで飽きさせないです。
例えば研修で眠くなりそうな時に、しっかり笑いを入れ、そういうタイミングでこそ研修の中でも特に重要なキーワードを差し込んでくるというテクニックが素晴らしいと感じます。

そんな時に聞いた言葉って意外と覚えているようで、あの笑いの時こう言っていたなと、単語と単語が繋がっていくことで新たな知識となり、現場での問題解決・課題解決のヒントになっているようです。ISOや基準で覚えるのも大切ですが、感覚で勝手に動ける能力が製造現場には必要なので、そこで役立てられるカリキュラムが組み立てられているなと感じます。

2つ目は、弊社とナレッジさんで試行錯誤しながら、一緒にプログラムを作り上げることができる点です。
決められたパッケージを毎年繰り返すのではなく、事務局とナレッジさんが一緒になって、目指す人材像に到達するために必要なプログラムやカリキュラムを差し替えながら、変化に対応し一緒に作り上げています。

社内で開催する研修に対して、「講義がつらい」「疲れる」といったネガティブな印象を持つ社員もいますが、次世代リーダー研修は体感型で、楽しく夢中になって学ぶことができる研修だと、研修生の受講後のレポートからも伺えます。
時には事務局も一緒になって参加することで、緊張感を和らげるよう意識しています。
この効果が出ているのか、第一回目から良い雰囲気で研修が開催できているようです。

研修の最後にはいつも「参加してよかった」「これからも継続してほしい」等の言葉が研修生から届きます。
これから参加する未来の研修候補生へとバトンを繋いでいけるよう、継続していこうと思います。

社内でも次世代リーダー研修が定着し、認知されてきました。今までは研修の後半に、それまで学んでき研修内容の総仕上げとして行う「現場改善実習」を東洋製罐の各工場のスペースをお借りして行っていましたが、来期以降はグループ会社のいずれかの工場で行うのもいいかなと思っています。

東洋製罐の社員もグループ会社に行く機会はあまり無いので、この研修を利用して、他のグループ会社を見る良い機会になればと考えています。
横断的に実習を行うことによって、グループ一体となって問題を解決しようとしている、という姿勢を見せたいです。
また来年は、全てのグループ会社に声をかけようという話も上層部から出ています。

当社ではこれまでキャリア形成に関するプランに明確な設定が無かったので、この次世代リーダー研修と連動して、職長、係長というキャリアアップの仕組みづくりを目指しています。
最近では社内で、「この人は次世代リーダー研修を受けたのか?」と経営層や現場の管理層から聞かれることが増えました。
受講したメンバーと受講していないメンバーとの違いは、社内でも認識されるようになってきています。
例えばマネジメント力があったり、人を仲間として大事にしていたり、多角的に物事を捉えられるといったような視野の広さにも差が出ているようです。

また、当社では「人材」ではなく「人財」、人は代替え可能な人ではなく会社の財産だという、人を尊重する思いを大切にしています。そのためには、決まったことだけ教えられる研修ではなく、いろんな方面から知識を得ていく研修、新しい研修へのチャレンジをどんどんやっていきたいですね。

そして今後もナレッジさん(坂田講師)と共に、研修生が楽しみながら必要な知識を習得できるカリキュラムやプログラムを作り上げていきたいと思います。


生産統括室 製造管理グループ エキスパート 吉井 智様
業界分類: 製造業
HP: https://www.toyo-seikan.co.jp/
※ 2024年7月31日現在


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